2.自然の再発見 

 

 各国の近代化以降、進行の一途を辿った自然の消失と荒廃 に直面した世界は、近代化を推し進めた西欧的自然観と宗教に対峙するものとして、東洋的自然観、先住民の自然観など、自然の再発見、再定義を重ねてきた。 また60年代の公民権運動から多文化主義への流れの中で、固有の土地を中心とした独自の自然観を基盤とするエスニック共同体の中で、例えばネイティヴ・ア メリカンの「共生の自然観」を主要テーマとする作品など、各エスニシティの歴史を背景に、故郷とその自然への回帰や再生を描いた作品も生まれてきた。こう した自然の再定義の過程の中でパストラル/アンタイパストラルの果たした役割が検証され、都会の自然も再考されている。ポスト・パストラルな想像力はパス トラルとアンタイパストラルの閉じられた円環を打破し土地に対する所有と所属の緊張関係を再考し、静止的で定着的なパストラルからより柔軟で流動的なパス トラルやアーバン・パストラルへの転換も試みている。具体的には『オルタナティヴ・ヴォイスを聴く――エスニシティとジェンダーで読む現代英語環境文学 103選』第2章を参照されたい。 

(横田由理)

 



 

 



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