9.都市環境と越境

 

都市は階級、人種、ジェンダーが複雑に織り込まれたヘテロ な社会空間であり、このような多民族的で多文化的な空間が環境批評の新たな対象となっている。パストラル神話の対極にある都市は、スラムやゲットーと捉え られ、マイノリティ・グループの貧困化と人種化の象徴ともなっている。閉塞的な空間にみえる都市空間は一方で、他民族、多文化のトランスナショナルなダイ ナミズムとグローバルな経済の結節点として開放度の高い空間でもある。都市空間のもつ開放性は、未来の社会共同体を志向する作品のモチーフともなってお り、さらに都市生活者みずからの越境と移動のディアスポラ的ルートを確認する場所でもある。具体的には『オルタナティヴ・ヴォイスを聴く――エスニシティ とジェンダーで読む現代英語環境文学103選』第9章を参照されたい。      

(吉田美津)

 





 



 

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